
手袋は指先むき出しタイプ派。とみーです。
昨日、岡山大学学術研究院医歯薬学域病理学(免疫病理)の大原利章助教らが、「木を搾る技術」を開発したと発表しました。
この技術により、「木質バイオマス燃料の製造を効率化でき、バイオマスを用いた地産地消型のエネルギー循環を促進し、カーボンニュートラルに役立つ事が期待きる」とのこと。
「木を搾る」って何よ?!
タイトルから興味津々となりましたので、ご一緒に見ていきましょう(^^)/
バイオマス燃料について、簡単に

まず本題に入る前に、『バイオマス燃料』について簡単に触れておきます!
バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称です。
これらの資源からつくる燃料をバイオマス燃料と呼びます。
つくられる燃料には、
- 固体燃料(木質チップやペレットなど)
- 体燃料(バイオエタノールやBDF(バイオディーゼル燃料)など)
- 気体燃料
など様々。
その中で今回話題に挙がっているのが固体燃料である『木質チップ』です!
この木質チップを効率よく生産するための技術が、今回岡山大学が開発した「木を搾る技術」というわけです。
岡山大学が開発した”木を搾る技術”
発表のポイント
ではここから本題に入ります!
早速ですが、今回の発表のポイントは以下の通りです。
- 木材をストローのように導管方向に圧搾する事で、効率的に脱水ができる事を明らかにした。
- 木材以外にも竹や草本類にも使用可能で、バイオマス燃料製造に役立てられる。
- 同時に”水溶性リグニン”を採取する事ができ、新規素材開発にも期待できる。
これを踏まえて、今までの課題と今回の研究結果を見ていきましょう!
今までの課題

木質バイオマスは化石燃料の代替としてかなり期待されています。
ですが、発電等に用いるボイラーを効率的に稼働させるためには、燃料の含水率を下げる必要があります。
このため、従来の方法として燃料となる木質チップを乾燥機で乾燥させたり、自然乾燥させたりして含水率を低下させる必要がありました。
燥機を動かすには重油や電力が必要で、自然乾燥には 1 年間乾燥させる時間と場所が必要でした。
木質バイオマス燃料をさらに普及させるためには、これらの乾燥コストを下げる必要があります。

とにかく難しかったのが、”木に含まれる水分を効率的に抜くこと”だったんです!
研究成果 ”ローラー式圧搾機”を用いた圧搾
そして今回、岡山大学の研究チームはある装置を用いて効率的に木の水分を抜くことに成功したようです!
それが”ローラー式圧搾機”です!


このローラー式圧搾機で木材を導管に沿ってストロー状に圧搾する事で、チップを圧搾する場合に生じる水分の再吸収を抑制し、これまでより効率的に脱水ができる事を証明したのです。
これにより乾燥させるコスト、時間を大幅に短縮する事が可能になり、新しい燃料製造方法として用いる事が可能となります。
また、圧搾液中には、水溶性のリグニンが含まれている事を確認しました。
この方法を用いれば、薬剤や熱を用いずに、効率的にリグニンの回収が可能で、抗ウイルス素材としての利用やナノ炭素の原料として新素材開発に役立てられる事が期待されます。

圧搾前後の木材断面の比較を見ると、導管の穴がかなり潰れていることが分かりますね!
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回の岡山大学の研究発表をまとめると以下の通りです!
- ”ローラー式圧搾機”を用いることでチップを圧搾する場合に生じる水分の再吸収を抑制できる。
- 結果、効率的に脱水でき、乾燥コスト削減、時間の大幅短縮に成功。
- ”水溶性リグニン”も同時も回収でき、新素材開発に役立てられる。
作業効率を上げることに成功しただけでなく、リグニンという新素材開発に役立てられる物質も一緒に回収できるようになったわけです。
ちなみに今回の研究内容は、2022 年 10 月 22 日に廃棄物資源循環学会の英文誌である「Material Cycles and Waste Management」にオンライン掲載されています。
ご興味ある方はこちらもご参照ください。
実際に木材が搾られているところ、見てみたい!!!
以上、参考になればうれしいです。
今回も覗いていただきありがとうございましたー(^^)/
とみー
【参考サイト】
・木を搾る技術を開発し、木質バイオマス燃料の製造を効率化/岡山大学
【論文情報】
論 文 名:A Novel Mechanical Plant Compression System for Biomass Fuel and Acquisition of Squeezed Liquid with Water-soluble Lignin as Anti-virus Materials
掲 載 紙:Journal of Material Cycles and Waste Management
著 者:Toshiaki Ohara, Ken Yuasa, Kentaro Kimura, Shiho Komaki, Yuta Nishina, Akihiro Matsukawa
D O I:https://doi.org/10.1007/s10163-022-01531-5
U R L:https://link.springer.com/article/10.1007/s10163-022-01531-5
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