
とみーです!
今回は「コンテナ苗」についてのお話!
ここ最近は秋植えをしています。
秋植えとは文字通り、秋に苗木を植えることです。
そして植えている苗木が今回お話しする「コンテナ苗」。
実は僕、コンテナ苗とポット苗は一緒のものだと思っていました。
それがなんと全くの別物だったんです(^^;)
そこで今回はコンテナ苗について調べてみました!
- コンテナ苗とはなに?
- 今、コンテナ苗が注目されている理由
- コンテナ苗とポット苗の違い
- コンテナ苗のメリット・デメリット
コンテナ苗とは

まずはコンテナ苗とは何かご説明します。
特殊な形状をしている「コンテナ容器」を使って育てられた苗木のことを言います。
林業用の苗木は、通常、苗畑で2~6年程度育てた苗木を使用しています。
苗木を造林地に運ぶ際には、土を払うため、根がむき出しになっています(裸苗とも言います)。
林業先進地の北欧などの造林地では、特殊な形のコンテナ容器を使って育てた根鉢(土)付きの苗木
を使うのが主流となっています。
こうした苗木を「コンテナ苗」と呼びます。

スギ、ヒノキ、マツなど全国でこのコンテナ苗の導入が進められています!
コンテナ苗の特徴(メリット)

ではコンテナ苗の特徴はどんなものがあるのか、紹介していきます!
主に以下の点があげられます。
- 特徴的な構造の「コンテナ容器」
- 根鉢(土)が付いている(乾燥しにくい、活着が良い、植え付け時期)
- 型崩れしない(成型性が良い)
- コンパクト(軽量・小型)
- 出荷期間が短い
1.特徴的な構造の「コンテナ容器」

まず注目したいところはコンテナ苗をつくる「コンテナ容器」です!
コンテナ苗は多孔容器で育苗される苗木で、培土と根が一体となった「根鉢」を形成した苗木です。
一般的に、容器で長期間育苗すると、容器内で根が絡まってしまう現象(根巻き)がおき、植栽後の枯死や生育不良の原因になる恐れがあります。

出典:北海道森林管理局
この問題を解撤すべく、コンテナ苗に用いられる容器では内面に突起(リブ)があるため、根が下の方へと伸長し絡まらないようになっています。

また、底面に穴が開いているため、成長が止まり(空中根切り)、根巻きの発生が抑えられ、植栽後
の活着及び成長が向上します。
- 容器の内面に突起(リブ)がある・・・根が下方へ伸ばすことで絡まらないようになっている
- 底面に穴が開いている・・・根巻きせず、植栽後の活着、成長が向上
2.根鉢(土)が付いている(乾燥しにくい・活着がいい)
次にコンテナ苗の特徴としては、根鉢が付いていることがあげられます。
植物を鉢から抜いたり、庭から掘り上げたとき出てくる、根と土がひと塊になった部分をいいます。
これにより、根が乾燥から守られるというメリットがあります。
裸苗のように根がむき出しになっていると当然乾燥にさらされ、傷みやすくなってしまいます。
コンテナ苗は培地が付いていますので、培地が根を覆い、乾燥しにくい状態です。
またあらかじめ培地が根についていますので、植え付けた後の活着の良さもメリットとして挙げられます。
- 根鉢により、根が乾燥から守られる
- 活着が良い
3.型崩れしない(成型性が良い)

苗木を容器から出したとき、根鉢が崩れない状態になっていることを、「成型性」といいます。
成型性がないと、植える前に崩れてしまって、苗木としては不合格です。
ポット苗の成型性は、主に土壌の粘着力によりますが、コンテナ苗の成型性は、培地にはほとんどなく、根が密に張り巡らされていることによって成型性が保てます。

植え付けの時には専用の苗木袋というバッグに入れるのですが、取り出す際にぽろぽろ崩れてしまっては意味がありません!
4.コンパクト(軽量・小型)

コンテナ容器で育てられるため、根っこの部分の形は最終的にはコンテナ容器の形状に仕上がります。
その仕上がりはシュッと縦長になっており、裸苗に比べて非常にコンパクトで軽いんです。
これにより「苗木袋にたくさん入り、運搬しやすい」「植え付けしやすい」というメリットがあります。

これは現場作業員としては非常にありがたいんです( ;∀;)
5.出荷期間が短い
またコンテナ苗には「出荷期間が短い」というメリットもあります。
これは「生育している地域」「最終的な出荷サイズ」「品種」などにもよりますが、裸苗と比較して、生育過程の効率化によって、出荷の期間を短縮できるという報告が多くあります。
現在も各地で研究・開発が進められています。

生産者としては、効率的に短期間で出荷できる点は労力の削減・収益に繋がりますからね!
ポット苗とコンテナ苗の違い
では「ポット苗」と「コンテナ苗」の違いについてみてみましょう!
主な違いは以下の4点です。
- 根鉢の大きさ
- 培地(培土)
- 成型性
- 根のからみ
それぞれの項目を比較してみました!
ポット苗 | コンテナ苗 | |
1.根鉢の大きさ | 太くて短い形 3.5 号(105mmφ)が最低必要 土の容量は約440cc | 細長い形 JFA-150コンテナ(45mmφ) 培地の容量は 約130cc メリット:軽い! |
2.培地(培土) | 土壌をベースとしている | ココナツハスク、ピートモスなど 有機培地をベースとしている メリット:軽い! |
3.成型性 | 主に土壌の粘着力による | 培地にはほとんどない 根が密に張り巡らされている メリット:成型性が保たれる!(プラグ苗とも言います) |
4.根のからみ | 鉢底の隅で根がぐるぐる回る変形が一般に激しい | コンテナの内側にある溝(リブ)、底に格子状の穴より根がからまない形状となる メリット:根のからみがない! |
ポット苗の問題が、かなり改善されたことが分かります!
コンテナ苗の課題(デメリット)

ただし、コンテナ苗の価格は現在のところ普通苗(裸苗)より高くついてしまっているのが現状です。
- 需要の安定化
- 生産規模の拡大
- 低コスト生産技術の開発
などによって、コンテナ苗が安価になることが必要です。
結びの言葉

今回は「コンテナ苗」についてお話しさせていただきました。
現場作業員からの意見としては、コンパクトで植えやすい、軽量なところは非常に助かります。
しかし今回調べていて、事務方また生産者としては価格の面、生産面でまだまだ課題があるということが分かりました。
しかし活着の良さや作業効率化の面を考慮すると、今後導入を進めるべきものであることは間違いないのかなと思いました。
林野庁としてもコンテナ苗の利用を進めているのが現状です。
また少し根本に戻る話となりますが、この苗木生産業界の担い手不足という点も深刻化しているようです。
林業関連はどこも人手不足。
これからもこのような情報を発信していきたい、林業の魅力や現状をもっと伝えていきたい。
より一層そのように思いました。
生産者さん、現場から応援しています!
以上、参考なればうれしいです!
どうもありがとうございましたー(^^)/
とみー
【参考サイト】
・林野庁
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