暗くなるのが早くなりましたね。皆さんお帰りの際は気を付けて!とみーです!
さて今回は「クマ出没とブナ種子の関係について」というテーマでお話ししていきたいと思います。
ここ最近クマ出没のニュースが絶えないですね。。。
同時にネットニュースなどでも「山で得られる食料が不作で、人里にクマが出没するようになった」という内容の記事を多く見かけます。
少し肌寒さを感じるようになったこの時期は、クマに限らず、山の動物たちにとって冬を越えるために蓄える時期となります。
たくさんある山の食糧の中から、今回は「ブナの実」についてお話ししたいと思います。
というのもこのブナの実も、クマの出没とかなり深い関係があるからです。
ご参考になれば幸いです。
ブナの種子は”総合栄養食品”
まずブナの種子(堅果)についてのお話します。
ブナの種子を食べる動物は、ニホンザル、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンジカ、ムササビ、ニホンリス、アカネズミ、ヒメネズミなど、多くの哺乳類に好まれています。
ブナの種子の他にもクリ、トチノキ、ナラ類(ドングリ)、オニグルミなどが食料としてあげられます。
これらの種子にはタンパク質、脂質、炭水化物などの栄養価が含まれており、それぞれ含まれている比率がなります。
エネルギー源としての餌であれば炭水化物が豊富なクリ、トチノキ、ナラ類が適しています。
(精白米と同等の比率)
一方、オニグルミの実は特に脂質が多く、タンパク質も豊富ですが、炭水化物が少ないことが特徴です。
ところが、ブナの実は他の堅果類に比べると、タンパク質、脂肪、炭水化物のバランスが良いんです。
加えて、トチノキには「サポニン」、ナラ類には「タンニン」などの物質が多く含まれており、人間が食べる際にはあく抜きが必要ですが、ブナにはこういった物質がほとんど含まれていないんです。
生のままでも美味しく食べることができ、いわば総合栄養食品なのです。
広範囲で一斉に起きるブナの豊凶
ブナは周期的に広い範囲で豊作と凶作が同調すると言われています。
豊作の翌年は基本的には凶作の年となります。
そのため、ブナの開花結実しない凶作年には、ブナ種子に依存している動物(捕食者)の数がガクッと減ることになります。
翌年、ブナが大量に開花結実することで、捕食者から免れた多くの種子が残ります。
その最大の捕食者がブナの花をもっぱら餌とする「ブナヒメシンクイ」という蛾であることが知られています。
この明確な豊凶の同調は、ブナの種子が食べつくされないようにするための進化であるとする「捕食者飽食仮説」として知られています。
ブナの種子とツキノワグマの出没
ツキノワグマは、ブナが豊作年の秋に種子(堅果)を食べ、越冬のためにその栄養を体内に蓄えます。
1粒あたりのブナの種子のカロリーは概ね0.629kcal。
成熟したブナ林が大豊作であれば、1ha分で1頭のツキノワグマの冬眠には十分な量と試算されます。
つまり豊作年であれば、ツキノワグマが町に下りてくることはまずないでしょう。
出産や育児にもデンプンと共にタンパク質や脂質をバランスよく含むブナの種子の役割が大きいことが分かっています。
東北地方の多くの地域で、町にあわらわれたクマの数が多い年は豊作年の翌年のブナがほとんど実らなかった年である事が分かっています。
結びの言葉
以上がブナの種子とクマの関係についてです。
クマが町に出没する原因の一つに、ブナの種子の豊凶が関わっていることがお分かりいただけたでしょうか?
近年、ブナの不作年に住宅地にクマの出現を警告する自治体も増えてきているようです。
クマとの良い距離感を保つためにも、そのような情報にこの時期特にアンテナを張っておいた方が良いかと思います。
またもしクマと遭遇してしまった際に取るべき行動を再確認しておくことも重要かと思います。
僕は以前に自然散策の帰り、車の中からツキノワグマの親子を目撃したことがあります。
その時は「まさか自分が」と思い、びっくりしました。
皆さんももしクマと遭遇してしまった際は(焦るかと思いますが)適切な回避行動を取るようにしてくださいね!
以上、参考になれば幸いです!
今回も最後まで覗いていただき、ありがとうございましたー(*´з`)
とみー
【参考文献】
・雪国のブナを極める|只見町ブナセンター
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