はい、とみーです!
現在、脱炭素の切り札として注目されている「アンモニア」。
つい先日、大手商社の三菱商事がアメリカでの大規模なアンモニア製造プロジェクトへの参画に向けて検討を進めているというニュースが流れました。
そもそもアンモニアがなぜ注目されているのか、ご存じない方も多いかと思います。
今回は、なぜアンモニアが次世代のエネルギーとして注目されているのか、その理由について解説したいと思います!
アンモニアが次世代エネルギーになりうる理由
燃やしても二酸化炭素が出ない!
アンモニアは、炭素を含んでいないことから、燃やしても二酸化炭素を排出しないのが最大の特徴です。
またすでに肥料用として使われているため、運搬や貯蔵の技術が確立していて、その分、調達コストも抑えられます。
今、石炭にアンモニアを混ぜて、既存の石炭火力発電所で燃やす「混焼技術」の開発がすすめられています。
日本はアンモニアの先進国である!
石炭火力発電所でアンモニアを活用する取り組みが進められている企業として、東京電力と中部電力が出資する国内最大の発電事業者「JERA」があげられます。
愛知県の碧南火力発電所で、来年2023年度中にも石炭にアンモニアを2割混ぜて燃やす実証実験を始めるようです。
また会社では2021年の夏に、アンモニアの調達などを行う専門の部署を設けています。
2020年代の後半から最大で年間50万トン規模のアンモニアを海外から調達する予定とのこと。
将来を見据えた研究開発
大手機械メーカーの「IHI」は、今年6月、アンモニアだけを燃料にしてガスタービンで発電することに成功したと発表しました。
資源エネルギー庁によるとアンモニアだけを燃料にして発電したのは世界初だということです。
化石燃料を燃やした場合と比べて、温室効果ガスの排出を99%削減できたとしていて、3年後の2025年の実用化を目指しています。
経済産業省の試算によると、国内の大手電力会社が持つすべての石炭火力発電所で、2割ずつアンモニアを混ぜることができれば、二酸化炭素の排出量を約4000万トン削減できるということです。
これは発電時に日本で排出する二酸化炭素の10分の1の量らしいです!
アンモニアのメリット
アンモニアのメリットとして以下のことがあげられます!
1.発電時に二酸化炭素を排出しない
繰り返しになりますが、アンモニアの一番のメリットは「二酸化炭素を排出しないこと」。
先述しましたが、2割ずつアンモニアを混ぜることができれば、二酸化炭素の排出量を約4000万トン削減できます。
今後開発が進み、アンモニアの割合を上げることができれば、さらに多くのCO₂を削減することができるでしょう。
2.水素と比べて運搬が容易で、コストが安い
燃料電池において、水素に代わる燃料としても期待されているアンモニア。
その理由は、運搬が容易で、コストが安い点にあります。
水素にもさまざまなメリットがありますが、輸送や貯蔵が難しく、またその分コストもかかる傾向にあります。
しかしアンモニアは、水素と比べて輸送や貯蔵が比較的容易なんです。
また昔から肥料として使われてきた経緯もあり、すでに生産から運搬、貯蔵までの技術が確立されています。
3.既存施設を有効活用できる
アンモニアは混焼による発電で使用されるとお話ししましたが、つまりは既存施設をそのまま利用することができるのです。
火力発電のボイラーにアンモニアを混焼する場合、バーナーなどを変えるだけで対応できます。
新たな整備や初期投資を最小限に抑えることができ、火力発電所を廃炉するといった必要がなくなるわけですね。
アンモニアのデメリット
またアンモニアにはデメリットもあります。
1.発電時に有害物質である「窒素酸化物」を排出してしまう
アンモニアは窒素を含みます。
そのため燃焼すると「窒素酸化物(NOx)」を排出する性質があります。
窒素酸化物は、工場や自動車の排ガスなどからよく発生されます。
高濃度の二酸化窒素は、
- のどや気管、肺などの呼吸器に悪影響を与えるほか、
- 光化学スモッグや酸性雨の原因
にもなりえます。
アンモニア発電の実用化に向けては、窒素酸化物の制御や排出抑制をしなければいけません。
2.製造時に二酸化炭素を排出してしまう
アンモニアをつくる方法として窒素を合成する「ハーバー・ボッシュ法」というものがあります。
この方法でアンモニアを作り出す際に、大量のエネルギーを消費するんです。
アンモニア発電自体はCO₂を排出しませんが、その製造過程で多くのCO₂を排出することになります。
今後の課題
課題としては以下の点があげられます。
デメリットでお話しした通り、
- 発電時の窒素酸化物の排出
- 製造時の二酸化炭素の排出
この二点に関しては現在も課題解決のための取り組みがなされている状況です。
また「2.アンモニアを安定して確保すること」に関して、アンモニア発電の研究が進んで実用化された場合にアンモニアが不足することが懸念されています。
現在、生産されているアンモニアの多くは肥料の原料として使われています。
さらに発電で使うとなると、生産が追いつかなくなる事態も予想されます。
ですので、「海外からいかに調達できるか」ということも今後考えなければならないことなのです。
結びの言葉
今回は次世代エネルギー「アンモニア」についてのお話でした。
僕は正直、アンモニアと言えば草津温泉くらいにしか考えていませんでした(申し訳ございません)。
ですが今回、調べていくうちに非常に重要な研究であるということが分かりました。
日本は2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指しています。
そのためにはこのアンモニアの活用は必須なのかもしれません。
また月並みですが、僕らにできることを続けていかないといけないなと思いました。
まずはこういった世間の取り組みを知ってもらいたいなとも思いました。
皆さん、アンモニアのこと、少し見直したでしょうか?
以上参考になればうれしいです!
最後まで読んでいただきありがとうございましたー(^^)/
とみー
【ご参考】
出典:世界初,液体アンモニア100%燃焼によるガスタービンで,CO₂フリー発電を達成
~燃焼時に発生する温室効果ガスを99%以上削減~|株式会社IHI
出典:碧南火力発電所のアンモニア混焼実証事業における大規模混焼開始時期の前倒しについて|株式会社JERA
出典:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)|環境省
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